プラモデル製作では、ヤスリ掛けやパテの研磨で大量の粉塵が発生します。
以前製作した水フィルター式卓上集塵機でも十分に集塵できていましたが、PROXXON ペンサンダーを使うようになってから粉塵の量が増え、DCファンからの吹き返しが気になるようになりました。
そこで、「吹き返すなら密閉容器の中を負圧にすればいい」と考え、小型のパイプファンを追加した水フィルター式卓上集塵機3号機を製作しました。
この記事では、製作方法と実際の使用レビューを詳しく紹介します。

この自作集塵機の特徴
過去に自作した水フィルター式集塵機との違いは、小型のパイプファンを追加したことです。
主な特徴は以下のとおりです。
- 水フィルターで粉塵を回収
- パイプファンで容器内を負圧化し、DCファンからの吹き返しを防止
- USB給電で手軽
- 卓上で使えるコンパクトサイズ
ペンサンダーのように大量の粉塵が発生する工具でも快適に使用できます。
水フィルター式卓上集塵機:材料と工具
材料
- 密閉容器
縦長で深さのあるもの、今回使用したサイズは、W:20cm×D:15cm×H:7cm位で1.2リットルくらいのもの
- USB接続DCファン
パソコンケースに使用しているようなもの12cmくらいが丁度良い - スイッチ付きUSB延長ケーブル
- ネット 100均などにある洗濯ネット

- ホース パイプと径の合うもの
- ホースバンド ホースと径の合うもの
- パイプ ホースと径の合うもの
- トイレ用などのパイプファン(小型換気扇)
- プラバンもしくはスチレンボードや段ボールなど
- 掃除機の集塵パック 100均などのもの

- 角型トレー 100均などのもの
- DCファンを止めるネジ&ワッシャー
- 両面テープ
- マスキングテープ
- ガムテープなど
工具
- カッターナイフ
- コンパスカッター
- グルーガン ボッシュ ホットボンダー PKP18Eがおすすめ
- ドライバーセット
- マジック
- はさみ
水フィルター式卓上集塵機:製作工程
集塵機本体の製作
密閉容器の蓋へDCファンの取り付け

密閉容器を選ぶときは、パイプファンの吸引用パイプにDCファンの風が直接当たらないように、中に入れる水に風が多く当たるように、正方形ではなく長方形のものを選びます。
密閉容器の蓋に穴を開けたいので、DCファンのファンガードを使って、中心、ねじ止めの位置をマジックで印をつけます。

こんな感じで印を付けたらファンの穴を、コンパスカッターを使って開けます。
穴はファンの羽根より少し小さく開けます。
羽根の先端とケースには隙間があるため、大きく開けると吹き返しの原因になります。

穴を開ける時は、密閉容器は柔らかくても一気に開けようとせず、少しずつ切れ込みを入れます。
柔らかい密閉容器であっても、力が加わったりするとひび割れることがあります。

DCファンを固定するためのネジ穴と、コードを通すための穴も開けます。
これは電源が右側にある場合、電源が左側にあるなら、長方形の穴は左側に開けます。

DCファンのファンガードだけでは小さいパーツは落ちてしまい、ファンで破損しかねないので、洗濯ネットの様なネットを必要な大きさにカットして被せています。
ネットの目の細かさによっては、ネジとネットが一緒に回転してしまうので、ネットにはネジ用の穴を開けます。

DCファンのコードは開けておいたところから出し、マスキングテープなどで固定します。
ネジはワッシャーを3つにだけ付けて、ファンとファンガード、ネットを固定します。
完全にネジでネットを固定しないのは、下記画像のように、ネットをめくれる様にしたいからです。
ネットの目よりも大きなゲート処理のゴミなどを、ファンを止めて入れるようになります。
画像は上からネット、ファンガード、密閉容器の蓋、ファンの順で固定していますが、密閉容器とファンが当たるなら、ネット、密閉容器の蓋、ファンガード、ファンの順だと、ファンガードで密閉容器とファンが当たらなくなります。
残り1つのネジはネットを固定しないように、ネットの下からファンを固定します。

接続用パイプを3Dプリンターで製作

パイプファンと密閉容器を接続するためのパイプを製作します。
今回は、手元にあったホースの内径が40mmと少し特殊なサイズだったため、ホームセンターでちょうど合うパイプを見つけることができませんでした。
そこで、3Dプリンターを使用してホース径に合わせた接続用パイプを自作しました。
市販のパイプでサイズが合う場合は、それを使用しても問題ありません。
接続のパイプ取り付け

密閉容器の側面に、パイプのサイズに合わせて穴を開けます。
カッターで少しずつ切り込みを入れ、パイプを差し込みます。
穴は少しきつめに開けた方が、パイプが固定しやすくなります。

水を使用する集塵機なので、見えない小さな隙間でも水漏れする可能性があります。
「少し多いかな?」と思うくらい、しっかりホットボンドを盛りました。

ボッシュ ホットボンダー PKP18Eがおすすめな理由

今回のような狭い場所へホットボンドを流し込む作業では、先端が長いタイプのホットボンダーが非常に便利です。
特にボッシュ ホットボンダー PKP18Eは、先端アタッチメントを使用することで、奥まった場所や隙間にもホットボンドを付けやすいのが特徴です。
密閉容器とパイプの接続部分のような、通常のグルーガンでは届きにくい場所で大活躍します。
集塵機本体の完成
密閉容器の蓋にDCファン、容器側面に接続用パイプを取り付ければ、集塵機本体は完成です。
次は、パイプファン側の加工とフィルター部分を製作していきます。
水フィルター式卓上集塵機:3Dプリンターを使用しない接続方法
今回の製作では、ホース径に合わせるため3Dプリンターで接続用パイプを製作しました。
しかし、3Dプリンターを持っていなくても、市販パーツを利用すればパイプファンと密閉容器を接続できます。
ここでは、簡単に入手できる代替方法を紹介します。
市販塗装ブースのホースと排気口アタッチメントを使う方法
一番簡単なのは、市販の塗装ブース用パーツを利用する方法です。
GSIクレオスのMr.スーパーブース用延長ダクトホースや排気口アタッチメントを使用すれば、安価で簡単に接続できます。
取り付け方法は簡単で、排気口アタッチメントを密閉容器の側面上部に固定し、ホースをパイプファンへ接続するだけです。
3Dプリンターでパイプを作るよりも手軽なので、初めて自作する場合はこちらがおすすめです。
衣装ケースなどで自作した塗装ブースを持っている場合
エアブラシ塗装をしている方なら、すでに塗装ブースを所有している場合も多いと思います。
衣装ケースなどで自作した塗装ブースを使用している場合は、その排気経路を利用できます。
塗装ブースと水フィルター式集塵機を接続し、塗装ブースのファンを動かしながら集塵機を併用すれば、追加でパイプファンを購入する必要がありません。
洗濯機の排水ホースを使う方法
安価に製作したい場合は、洗濯機用の排水ホースを利用する方法もあります。
洗濯機用排水ホースは一般的に内径30mmのものが多く、延長タイプでは反対側の径を
- 34mm
- 32mm
- 30mm
- 28mm
などにカットして調整できる製品があります。
これを使用すれば、密閉容器とパイプファンの接続用ホースとして利用できます。
密閉容器側は、掃除機用の隙間ノズルなど外径34mm程度のパーツを加工して取り付けます。
パーツを横向きにカットして密閉容器へ固定し、パイプファン側には30mmのパイプを接続すれば使用できます。
接続方法のおすすめ順
個人的には、作りやすさでは以下の順番がおすすめです。
- 市販塗装ブース用パーツを利用する方法
- 入手しやすい
- 加工が少ない
- 初心者向き
- 洗濯機用排水ホースを利用する方法
- 安価
- ホームセンターで入手可能
- 3Dプリンターで専用パーツを製作する方法
- サイズを自由に設計できる
- こだわった形状にできる
3Dプリンターがなくても十分製作可能なので、自分の環境に合わせた方法を選ぶと良いと思います。
水フィルター式卓上集塵機:パイプファンの囲いを製作

水フィルター式卓上集塵機では、密閉容器側のDCファンで吸い込んだ空気を、パイプファンへ送り排気します。
今回使用したパイプファンは、Panasonic FY-08PD9SDです。
このパイプファンは、外枠:約17cm、排気パイプ径:約100mmとなっています。
※画像のパイプファンは、囲いをコンパクトにするため、白い外枠の下側をカットしています。
スチレンボードで囲いを製作

パイプファンの周囲を囲うためのケースを製作します。
本来は強度を考えるとプラ板の方がおすすめですが、今回は手元に在庫がなかったため、スチレンボードを使用しました。
まずは、パイプファンと接続パイプの位置を確認しながら、大まかなサイズでスチレンボードを切り出します。
パイプファンとの間に隙間を作る
パイプファンと囲いが密着すると、吸気や排気の効率が悪くなるため、内部に空間を作ります。
余ったスチレンボードを小さくカットし、スペーサー(ブロック)として両面テープで貼り付けます。
このブロックを利用して、パイプファンと囲いの間に一定の隙間を確保します。

壁を取り付けて囲いを作る

スペーサーを基準にして、周囲へ壁となるスチレンボードを取り付けていきます。
位置を調整しながら、ガムテープなどで仮固定します。

強度を求める場合は、
- プラ板
- ABS板
- 瞬間接着剤
- プラ用接着剤
などを使用すると、より丈夫に作れます。
排気パイプを取り付ける
囲い側面にパイプを通す穴を開け、排気用パイプを取り付けます。

パイプ周辺には隙間ができるため、ガムテープなどで固定します。

これでパイプファン用の囲いが完成です。
今回はスチレンボードとガムテープによる簡易製作なので、強度はそれほど高くありません。
ホースを取り付ける時は、無理な力をかけると囲いが変形する可能性があるため注意してください。
水フィルター式卓上集塵機:パイプファンの排気側に掃除機の紙パックを付ける
水フィルター式集塵機は高い集塵効果がありますが、100%すべての粉塵を捕集できるわけではありません。
特に非常に細かい粉塵は、水を通過してしまう可能性があります。
そこで、パイプファンの排気側に掃除機用の紙パックを取り付け、最後のフィルターとして使用することにしました。
取り付け場所は、パイプファンの排気側のパイプとの接続部分です。
簡単な構造ですが、水フィルターを通過した微細な粉塵を捕集する役割があります。
紙パックの取り付け方法
使用するのは、100均などで販売されている掃除機用の紙パックです。
パイプファンの排気口のサイズに合わせて穴を開けます。

あとは紙パックを、パイプファンのパイプとの接続部分被せるだけで完成です。

パイプファン用スタンドを製作
使用しているパイプファンは、そのままでは自立しません。
そこで、余っていた綿棒のケースを利用して簡単なスタンドを製作しました。
パイプファンを安定して設置できるようになり、ホースを接続した時も倒れにくくなります。

水フィルター式卓上集塵機:ホースで水フィルター式卓上集塵機とパイプファンを接続する
集塵機本体とパイプファンをホースで接続します。
今回は、手元にあったパイプのサイズに合わせて製作しました。
ホースとパイプの接続部分は、抜け防止のためにホースバンドを使用することをおすすめします。
特にパイプファン側は、ホースを動かした時に負荷がかかりやすいため、しっかり固定した方が安心です。

パイプファンの設置場所
パイプファンは必ずしも作業机の上に置く必要はありません。
ホースの長さを調整すれば、
- 足元に置く
- 作業机の端に置く
- 壁に掛ける
など、作業環境に合わせて設置できます。
モーター音や排気を作業場所から離せるため、快適に使用できます。
接続時の注意点
ホースを取り付ける時は、強度のあるパイプファン側から接続すると作業しやすくなります。
特に自作した囲い部分は強度が低い場合があるため、無理に押し込むと破損する可能性があります。

水フィルター式卓上集塵機:完成
USB配線などをすべて接続すれば完成です。
完成写真では、DCファンのファンガードを密閉容器の蓋の下側に取り付けています。
これにより、
- 小さなパーツの吸い込み防止
- ファンへの異物混入防止
の役割もあります。

水フィルター式卓上集塵機:使用の前に
製作した水フィルター式卓上集塵機を実際に使用してみました。
今回の改良で一番改善したかったのは、DCファンからの吹き返しです。
PROXXONのペンサンダーを使用するようになり粉塵量が増え、以前の集塵機では細かな粉が舞うことがありました。
そこでパイプファンを追加して排気側から吸引する構造に変更しました。
実際の使用感を紹介します。
使用前に必ずトレーを設置する
水フィルター式集塵機は水を使用するため、使用時は必ず下にトレーを置くことをおすすめします。
100均などで販売されている角型トレーで十分です。
ホットボンド部分が剥がれたり、接続部分にわずかな隙間ができたりすると、水漏れする可能性があります。
作業机が濡れると掃除が大変なので、万が一の対策としてトレーを敷いておくと安心です。

パイプファンの吸引力テスト

パイプファン単体で十分な吸引力があるか確認しました。
ホースを接続した状態でスイッチを入れると、ティッシュを吸い込む程度の吸引力がありました。
この結果から、DCファンを同時に動作させても、内部の空気をしっかり排出でき、吹き返しを防げると判断しました。
水には界面活性剤を入れる
水フィルター式集塵機は非常に効果的ですが、水だけでは少し問題があります。
プラスチックの削りカスやヤスリ粉などの粉塵は、水を弾きやすい性質があります。
そのため、水の表面張力によって粉塵が水面に浮いたままになり、水面が粉で覆われると新しく入ってきた粉塵を効率よく捕集できなくなります。
そこで使用するのが、界面活性剤(中性洗剤など)です。
水に数滴加えることで表面張力が弱まり、粉塵が水になじんで沈みやすくなります。
結果として、水フィルターの集塵性能を維持しやすくなります。
水フィルター式卓上集塵機:実際に使用した感想
一番改善したかった吹き返しは、パイプファンを追加したことでほぼ完全になくなりました。

実際に、
- ゲート処理
- タミヤ ベーシックパテの研磨
- 高切削タイプの瞬間接着剤を使用した合わせ目消し
などで使用しましたが、発生した粉塵はしっかり集塵できています。
以前気になっていた作業机のザラつきもなくなり、作業後の掃除がかなり楽になりました。
プラモデル製作では、粉塵対策は作業環境を快適にするだけでなく、健康面でも重要です。
市販の卓上集塵機では物足りない方や、自分の作業環境に合わせた集塵機が欲しい方には、水フィルター式卓上集塵機の自作はおすすめです。
防塵マスクは必ず着用する
水フィルター式卓上集塵機を使用することで、作業机や部屋に舞う粉塵は大きく減らすことができます。しかし、集塵機だけで粉塵を100%除去することはできません。
ヤスリ掛けやパテの研磨では、非常に細かい粉塵が発生します。
特に作業中は、ヤスリ掛けをしている手元に顔が近くなるため、集塵機で捕集しきれなかった微細な粉塵を吸い込む可能性があります。
プラモデル製作は長く楽しむ趣味だからこそ、健康対策も大切です。
私は集塵機を使用するときでも、防塵マスクを着用するようにしています。
おすすめは、交換式フィルターを使用するタイプの防塵マスクです。
使い捨てマスクよりも密閉性が高く、ヤスリ掛けやサーフェイサー作業など、粉塵が発生する作業で安心感があります。

今回紹介した自作ツールの材料一覧(Amazonストア)
今回ご紹介した自作ツールの材料などは、私の「Amazonおすすめ道具リスト」で一覧としてまとめています。

使用している工具・道具まとめ
プラモデル制作で使用している工具・道具をまとめ、それぞれの特徴や使用感を個別記事で紹介しています。




































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